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Factory Festival

Tsubame-Sanjo Factory Festival Committee, 2013-
https://kouba-fes.jp
Photo: Ooki Jingu

金属加工の産地、燕三条地域を伝える活動体「燕三条 工場の祭典」の企画・運営に参加し、アートディレクションを担当。鮮やかなピンクストライプをビジュアルアイデンティティとして展開している。
新潟県の三条市および燕市からなる燕三条地域は金属加工業で知られ、大小さまざまな工場が域内に点在する。当地域の価値を実感してもらうため、2013年から毎年10月に工場見学イベント「燕三条 工場の祭典」を開催している。100を超える町工場を一斉に開放し、場内の見学、または実演を行って、来場者に工場=ものづくりの魅力を伝えるというものだ。
初年度の参加者数は1万人であったが、2019年の開催では5万6千人に。参加工場も約50から約100へ、売り上げは10倍以上に増加し、確かな結果を出している。さらに継続的な開催をきっかけに、市外から入社を希望する来場者が現れ、これまでに約30人が燕三条内の工場に就職している。
私たちはアートディレクションとデザインを担当。ビジュアルアイデンティティは会期中に各工場を彩るピンクのストライプだ。これは危険や注意を促す黄と黒のストライプをモチーフに、鍛治仕事の炎がもつ鮮やかなピンクを引用したもの。
工場の内外にプロジェクションを行うユニークな手法に加え、ポスターやパンフレット、Tシャツなど多種多様なコミュニケーションツールを展開する。ピンクストライプというシンプルで強いビジュアルは、どのようなアイテムに展開してもアイデンティティを明快に伝える。
イベント当日のサインとしてピンクの「テープ」とピンクストライプの「ダンボール」を用いた誘導サインや看板を考案。職人自らの手で制作され、工場の入り口から内部、また近隣を含む町の至るところに設置されたサインは回を重ねるごとに個性が現れ、装飾そのものも「燕三条 工場の祭典」の魅力の1つとなった。
また、より多くの人に知ってもらうため、「燕三条 工場の祭典」は地域を越えて国内外で展覧会を開催している。そのため、域内での開催を本祭、域外での活動を課外活動と位置づける。
2014年、最初の課外活動として世界最大級のデザインイベント、ミラノデザインウィーク期間中にエキシビジョンを開催。2015年に東京・六本木の「アクシスギャラリー」で展覧会を開催した。2017年には台湾・台北のトレードショー「台湾文博会」にてエキシビション『工藝現場 Crafts LIVE』を開催。同年の本祭では陶磁器で知られる佐賀県有田市や長崎県波佐見町、打刃物や眼鏡などで知られる福井県鯖江市といった国内の産地ともコラボレーションを行った。
2018年、イギリス・ロンドンの複合的な文化・商業施設として、日本の多様な魅力を発信する欧州の拠点「ジャパン・ハウス ロンドン」の初独自企画展『Biology of Metal: Metal Craftsmanship in Tsubame–Sanjo(燕三条 金属の進化と分化)』に協力。同館企画局長のサイモン・ライトは「燕三条 工場の祭典」を訪れ、作曲家グスタフ・マーラーの言葉「伝統とは、灰を崇拝することではなく、炎を絶やさないことである」を連想したといい、それは以降の「燕三条 工場の祭典」にとって大きな意味をなすものとなる。
2018年、スイス・ランゲンタールで「Designers’ Saturday 2018」に参加。2019年、銀座の「森岡書店」と代官山の「代官山T-SITE」で初の書籍を発表。2020年にはシンガポールの美術大学「Nanyang Academy of Fine Arts(NAFA)」で『Roots of Metalcraft: Tsubame–Sanjo, Niigata, Japan』を開催。
新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年はイベント形式を見直し、10月から一カ月にわたってオンラインで動画とライブ配信を行った。あわせてウェブサイトも「燕三条 工場の祭典」を振り返るアーカイブ形式にリニューアルしている。2021年も引き続き工場見学はせず、かつて研磨機を製造していた広さ2,000㎡超の工場跡地にて、11月に燕三条初の展覧会「Tsubame-Sanjo Factory Museum」を開催。燕三条の未来に向け、地元住民と燕三条のものづくりの力や歴史を見つめ直す機会を目指した。
工場見学イベントとして始まった「燕三条 工場の祭典」は、数々の課外活動を行うことで、イベントを超えた「活動体」として成長している。

主催・運営:「燕三条 工場の祭典」実行委員会 / 共催:公益財団法人燕三条地場産業振興センター、三条市、燕市 / 全体監修:method / アートディレクション・デザイン:SPREAD / 写真:神宮巨樹、古平和弘 / プロジェクション:岸本智也 / 編集・文:山田泰巨 / 翻訳:カプラン・ザッカリー / ウェブ制作:スマイルファーム / PR:HOW
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