Spread, 2019
2019年に発表した作品『観賞用コントラスト』は、私たちが創作活動のなかで色のセレクトや構成同様に強く意識する「コントラストの美しさ」を踏まえ、その原点を探り、掘り下げ、考究し、光と闇のコントラストをすくい取り、色の景色がもつ本質を探りだそうと考えた。私たちが認識するすべての色景は、無数に存在する光の波長がつくりだしている。たとえば木々に宿る葉は陽光から赤や青を吸収し、緑だけを反射してその色を届ける。やや乱暴な見方ではあるが、色の正体は光であり、光と影が色景をつくりだしている。本展は、朝焼けや夕焼け、飛沫をあげる波間など、さまざまな風景を形づくる色の奥に潜む、光と闇の無数のコントラストを探る実験でもあった。制作は燕三条の工場に依頼。紙のように薄いアルミ板を折り曲げ、細かな凹凸で無数の光と影をつくるため、光を反射しないマットな質感で砂を混ぜた塗料を塗装。砂の粒の大きさはサンドペーパーの全番手から最適な粒度を選別した。このタイトルは観賞用植物から着想を得ており、植物のように「観賞用コントラスト」を置くことで空間全体に力を与える存在を目指した。
会期:2019年10月31日〜11月23日 / 会場:(PLACE) by method(東京・渋谷) / 協力:Hideco、山田泰巨、脇プロセス / 制作:板垣金属、外山製作所、ガレージ67 / アートディレクション・デザイン:SPREAD / PR:川村美帆(デイリープレス) / 写真:神宮巨樹
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