Spread, 2013-
2004年から、1日の行動を21色のカラーに置き換え、それらを24時間の時間軸に沿って記録することから生まれる生活の模様『Life Stripe』を制作している。きっかけは私たちの友人が引きこもりになったことにある。友人が1日の行動を自覚できるよう行動記録を交換し始め、続けるうちに徐々に活力を取り戻した。そこで1日の行動を色に置き換え、鑑賞できる状態にすることを考案。まずは知人の心理学者に相談し、行動の統計調査を実施し、その結果をもとに行動項目を21に整理した。次に色の統計調査を行い、結果をもとに項目の色を設定したが、「仕事・勉強」の色だけは統計結果と違う色に決定。多くの人は仕事と勉強に暗い色のイメージを持っていたが、生きる糧となる行動と解釈し、あえて活動的な赤に設定している。こうして多種多様な人々や動物、昆虫など、さまざまな生物の1日を色に置き換えて『Life Stripe』を発表した。何者もが生きた事実は等しく美しいと体感することを促す。現在、約15万人の1日の記録を収集している。日本では、2006年に「横浜ベイクォーター」の駐車場を利用した常設展を行い、2011年の震災後には東京のギャラリー「TRAUMARIS」で個展を開催、2012年に「スパイラル」でチャリティプロジェクト『Live Colorfully!—a Creative Support to Tohoku』を開催した。その後、2012年から3年にわたってミラノサローネに出品。2014年には、ミラノ大学、サンマリノ共和国大学とのセッションを通じて行った展覧会が大きな成果をあげる。同年、スイス・バーゼルの私設ミュージアム「Rappaz Museum」より招待を受け、個展を開催。2015年に在スイス日本大使館で個展を行い、2016年は「茨城県北芸術祭」に参加。2019年にシンガポールの「Red Dot Design Museum」で展示する機会に恵まれた。作品が生まれるきっかけとなった友人は2年かかったものの、無事社会復帰を果たしている。
アートワーク:SPREAD / 写真:神宮巨樹
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