長崎県が取り組む「環長崎港地域アーバンデザインシステム」の活動の変遷に関する報告書が刊行された。SPREADは本書の監修を担当している。
「環長崎港地域アーバンデザインシステム」とは、長崎港に美しい都市景観を創造し、後世に引き継ぐ財産とするために質の高いデザインの創出を目指す、2000年から実施されている仕組みのこと。主に長崎港周辺で実施される県主体の事業等が対象で、アーバンデザイン専門家との協議、委員会への諮問により公共のデザインを決定する仕組み。
本書は取り組まれた施設の紹介から、専門家や発起人の元長崎県知事などの想いまでが綴られており、写真やイラスト、図解をふんだんに用いたことで視覚から感覚的に理解しやすい内容に仕上がった。表紙は、長崎港の海と都市景観を象徴する縦ルーバーをかけ合わせたデザインで手に取りやすくなっています。専門の知識がなくとも一般の市民にも理解しやすいよう、丁寧に編集された1冊となっている。
このシステムをもとに専門家との協議により慎重に取り組まれ、これまで26件の事業が検討されました。その中には「長崎水辺の森公園」、「長崎港松が枝国際観光船埠頭」、「長崎県庁舎・防災緑地(おのうえの丘)」など。これまでこのアーバンデザインシステムによるまちづくりはアジア都市景観賞を受賞しており、さまざまな施設がグッドデザイン賞、土木学会デザイン賞などを受賞している。
これまで取り組んできた変遷だけでなく、未来へどう繋げていくか、今後どのような課題が考えられるかという問題提起も含んでおり、地域のまちづくりの参考となる内容。
発行:長崎県土木部都市政策課 / 監修:SPREAD / 編集:株式会社長崎新聞社 / インタビュー:石井幹子、伊藤滋、金子原二郎、上山良子、隈研吾、篠原修、高橋央、壇誠、中山敏己、林一馬(50音順) / 写真提供:Fujinari Miyazaki、Keisuke Yokota、Yusuke Matsuzono、Kengo Kuma & Associates、コヤマケンタロウデザイン事務所 / 人物画:ヘンリー・オーガスタ/ 印刷・製本:株式会社昭和堂
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