We Design Beirut, 2025
www.wedesignbeirut.com
2025年10月、SPREADはレバノン・ベイルートで開催された国際デザインイベント「We Design Beirut 2025」にて、色彩をテーマにしたインスタレーション《Much Peace, Love and Joy》の新たな2つのバージョンを発表しました。
「We Design Beirut」は、1990年まで続いたレバノン内戦から50年という節目に、デザインを再生のシンボルとして位置づける文化的な試みです。ベイルートは、戦争だけでなく、2020年に起こった世界最大級の港湾爆発事故でも都市の一部を消失。まちにも、人々の記憶にもそれらの爪痕が深く刻まれているなかで実施された本イベントでは、ベイルート市内の歴史的な建築群を舞台とし、会場それぞれにキュレーターが配置され、建物の記憶と作品が響き合うように構成されていました。
《Much Peace, Love and Joy》は、「色でよろこびを届けたい」という願いから生まれました。特殊な活版印刷で刷られた鮮やかなグラデーションの紙を1枚ずつ手でちぎり、有機的に配置するインスタレーションです。ベイルート市内の歴史的な2つの会場で、それぞれの空間に溶け込むよう、再構築して展示をおこないました。
Villa Audi Mosaic Museum
オスマン様式とヨーロッパ建築が溶け合った邸宅を改装した美術館で、現在はモザイク美術のコレクションを収蔵。建築家であるグレゴリー・ガツェレリア氏のキュレーションのもと、企画展「TOTEMS OF THE PRESENT & THE ABSENT」の一部として展示されました。
3枚組のフレーム構成で展示された本作には、来場者からは「すべての色が記憶に見える」「破れた紙と鮮やかな色のコントラストは、爆発後、私たち全員が人生の明るい面を探さなければならなかった頃を思い出させる」「悲しみと希望が溶け合っているように見える」といった声が寄せられました。「最初は何かわからなかったが、じっと見つめると故郷に見えてきた」「最初は海、次は山、と見れば見るほど色々な場所が見えてくる」「色が踊っているようだ」と語る人がいたり、実際に作品の前でダンスをはじめる姿もありました。
Immeuble de l’Union
1950年代のモダニズム建築であるこの建物は、建築後の社会情勢の悪化などが重なり、徐々に荒廃が進行。今もなお改修中でありながら、展示空間として開放されました。改修を担当している建築家、カリム・ネーダー氏とAtelier33がキュレーションを担当し、「UNION—A JOURNEY OF LIGHT」というテーマのもと、空間に色彩のかけらの連なりが浮かび上がるように展示しました。この会場で鍵となるのが照明で、光と影の演出により、本作の新たな見方が提示されました。
来場者からは「心のパズルのようだ」「何かを連想させるというよりも安堵感を感じる」「色彩が鮮やかで楽しく、こどもに戻ったような気分になる」といった感想が寄せられました。「ベイルートに向けて、日本から平和、愛、よろこびを送ってくれたことによろこびを感じる」という声もありました。
イベント:We Design Beirut 2025
会期:2025年10月22日〜26日
会場:Villa Audi Mosaic Museum、Immeuble de l’Union
アートワーク:SPREAD
キュレーター: Gregory Gatserelia(TOTEMS OF THE PRESENT & THE ABSENT)、Karim Nader Studio & Atelier33(UNION—A JOURNEY OF LIGHT)
写真:Dia Mrad (Villa Audi), Youssef Itani (Immeuble de l'Union)
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