SPREAD

SPREAD by SPREAD: What Color is Tomorrow?

Spread, 2021
https://www.spiral.co.jp/topics/spiral-garden/spread
Photo: Ooki Jingu, Kazuhiro Kodaira

SPREADは、展覧会『SPREAD by SPREAD 明日は何色?』を東京・青山の複合文化施設SPIRALにて行った。新型コロナウィルスのパンデミックにより大きく変化する社会状況に呼応し、「色は喜び」と提唱。色が喜びを育み、人々が前進する活力を生み出したいと考え計画した。2021年春に開催予定であったが感染症拡大のため延期になり、2021年秋に開催した。

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2020年の終わりに近づいたある日、年始状の印刷立会いをしていた。年始状は、その年を振り返りつつ次の年の想いを伝える便り。一枚一枚丁寧に色が乗っていく活版印刷はなぜだか普段より時間がゆっくり流れ、立ち合いながら想いを巡らせていた。

思い返すと、2020年はいままで体験したなかでもっともハードな年だったのかもしれない。オリンピック・パラリンピックなんてやれるはずもなかった。一年経ったいまも、未だに先が見えないいくつもの厄介事が重なっていて、時代の変わり目を生きていると言っても過言ではないだろう。それまでの当たり前が難しく、いまを乗り越えるために「待つしかない」という暗く重い空気が世界を覆ってしまったように思う。それは仕方がないことで、どうしようもないこと。でも本当に怖いのは、その渦に無意識に飲みこまれてしまうことだ。自ら抗わないと、渦に飲みこまれてしまう。

この日の穏やかな日差しと、色鮮やかな印刷インキが、私たちを突然決心させた。 「新しい作品をつくろう。沈んでいる(自分と)世界に色で喜びを生み出したい」

そのときの想いから、この展覧会は始まっている。媒介にするのは「色」。体験してほしいのはその記憶から広がる想像力。活版で印刷された色が私たちの心を動かしたように、色には人間の感覚や感情を揺り動かす力がある。心の内側からなにかが湧き上がる。そのなにかは思考をドライブさせ、世界を広げる。社会の出来事に向き合い創作することで、状況に働きかけ体験を生み出してきた。体験を通して、想像の力が社会のなかで育まれることを目指してきた。それはどんな時でも人間を救う力だ。暗く重い渦に飲み込まれそうなときに、豊かな場所に連れていってくれる。私たちはそのトリガーを引きたいと常々願っている。

この展覧会を、風景や動植物を眺めるようにゆっくり見てごらん。 それがなにに見えてもかまわない。人は違う。生まれも育ちも、状況はすべて違う。違うからこそ美しいし、わかりあうための想像力がある。その一方で、色を見たときに一人一人の内面から湧き上がる喜びがある。

明日は何色? すべての個人に、たくさんの愛と平和、そして喜びを。

SPREAD 山田春奈 小林弘和

会期:2021年10月27日(水)~11月7日(日) / 会場:Spiral Garden / 企画協力:スパイラル / 会場協力:株式会社ワコールアートセンター / 施工協力:株式会社脇プロセス / PR:デイリープレス / 協力:Uttzs、株式会社竹尾、東洋化成株式会社、株式会社MGNET、株式会社ライブアートブックス、PRINT + PLANT / 協賛:株式会社NBCメッシュテック、クラウドファンディング賛同者 / 後援:長岡造形大学
※クラウドファンディングGREEN FUNDINGを通じ、作品集の制作・個展開催にかかる費用の一部のご支援をいただきました。
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